文庫版を図書館で借りて読んだ。文量がそこまで多くないので私にしては珍しく二日か三日でサクっと読み終えることが出来た。 本編を読み終えブログに書こうと考えていたことが、全て文庫版の角田光代による解説に先に書かれてしまっていた。まあ本作を読んだ読者は大抵同じような印象を受けるだろうが。 本作の肝はその構成に尽きる。前半は犯人・山田の独白(弁明)の視点のみによって事件の全容が語られる。彼からすれば、自分は虐待されている10歳の少女を救うヒーローであると。そして後半の裁判過程において、山田は自らの行為の正当性を示す場が得られたことに胸を躍らせるのだが、(ある意味でこれは正しい。もし山田が精神病院へ強制…