そのころ農家を回って聞いた話はショッキングだった。アメリカでは既に禁止されていた農薬を使い続けて意識障害を発病した農家の人の話、自家消費の野菜には絶対に農薬は使わない、という彼らの告白。気づいたのは、「知らないから何でもできてしまう」という真実だった。出荷する野菜をどこの誰が食べるか知らないから、農薬を使うことに抵抗がない。逆に、食べる人の顔を知っていることが「抑止力」になるのだ。だから、消費者の側から「抗議」するのではなく、消費者と生産者をつなげることが変化を起こす一番の早道なのだ、と。(博報堂大学 幸せのものさし編集部『幸せの新しいものさし』PHP研究所、2010) こんばんは。毎年この時…