文部科学省が全国に配布した小冊子で、「道徳教育の充実に資する補助教材」として、児童生徒が身に付ける道徳の内容をわかりやすく表したものとされる。
しかし、その内容に関しては親や教師や子供をはじめとする教育現場からのチェックがいっさい行われていない。にもかかわらず7億3千万円もの費用をかけて全国に配布されたことには批判の声がある。
文部省としては、「各学校において有効かつ適切に活用されることを期待します」、「何の強制力もありません」という公式見解を示しているが、一方で使用状況の調査を行うなど、「心のノートを使わざるを得ない状況」を作りだす姿勢も見せている。
こうした動きに対しては、学校教育法21条2項の立法趣旨(補助教材の自由な使用)や、教育基本法10条の規定する「教育の自主性尊重の原則」にも抵触するのではないかと指摘されている。また、「道徳」という、本来は個々人の実生活を通じて自由に形成されるべきものを、文部省が一律に指導していこうというのは、日本国憲法19条(思想および良心の自由は、これを侵してはならない)に反するのではないか、という批判もある。
また、青少年の道徳は多様な形で形成されていくものであるにもかかわらず、文部科学省が子供に単一の価値観を「べき論」で示そうとすることについては、教育心理学の観点からの批判も行われている。