これらの映画の主人公は恋愛を通して、それを超えた向こう側にたどり着きます。それは「他者」です。人は人を恋すること、愛することで、自分以外の人の気持ちをどうしても知りたいと願います。そのためには自分の心も開かねばなりません。それによって、今まで知らなかった本当の自分自身を知ります。 そして変わります。自分として生きるため。 人は自分自身では変わることができません。そのチャンスをくれるのが恋であり、愛なのではないでしょうか。(町山智浩『恋する映画』スモール出版、2021) こんにちは。先日、話題の映画『偶然と想像』を観ました。監督は、前作の『ドライブ・マイ・カー』で第79回ゴールデン・グローブ賞(…