芦田祐子という美波の親友は、ぽっちゃりとした愛嬌のある顔立ちの少女であった。 美波が言っていたように、しっかり者で好奇心が強いというのは、上目遣いで探るように悠介を見る仕草で何とはなしに分るような気がする。年上の悠介に緊張していたり遠慮するような素振りはないようだ。 昨日美波との別れ際に、悠介は2つのことを美波に頼んでおいたのだ。 まず、彼女が最も信頼出来て、向井健のことを少しでも知っている人物に合わせてもらうこと、そしてその人に全てを話し我々に協力してもらうよう頼むことだった。悠介が恋人役をやる限りは、最小限でも口裏を合わせておく必要があるからだ。 「今日は来てくれてありがとう。大体の話は美…