かるかや 6 与次殿は、石堂丸様がお山から下られるのと、不動坂で出会いました。与次殿は石堂丸様のお姿をご覧になり、「さて、そこに下りてくるそなたは、昨日母上がお亡くなりになったということがお山まで伝わって、そのために卒塔婆を担いで来たのであるか、そのような仕度ができるものならば、どうして昨日のうちに下りてきて、母上の死に目に会わぬのか」と怒って声を掛けます。石堂丸様はこの与次殿の声に、「いやこれはは笛のための卒塔婆ではありません。では、母上はどうなられたのでございますか」と問い掛けます。与次殿はこの答えを聞いて、「あなたのお母様である奥方様は、昨日の八つの刻にお果てなされましたのじゃ」と言いま…