あれは確か、もうすぐ6歳になろうかという頃の出来事でした。クリスマスを数日後に控えた夜、母が僕に聞きました。「サンタさんには何をお願いするの?」僕はサンタさんへの連絡手段を持ち合わせていなかったので、母が代わりに伝えてくれるのだと思い、おもむろに当時夢中になっていた百科事典を持ってきました。そしてページに穴が開くぐらい、溶けるぐらい見ていた自動車のページを開け、「これが欲しい」と指さしたのが、「働く車」。いわゆる商用車というやつです。母はてっきり当時流行りのスーパーカーを要求するものと思っていたのか、かなりうろたえ、「ほんまにこれでええの?」と何度も確認してきました。「これが欲しい」。僕は言い…