この本の著者である孫崎享氏は長く外交官として活躍された方である。この本は、孫崎氏が外交の現場で体験した事実をもとに書かれたものである。戦後史を振り返ると、日本外交を動かしてきた最大の原動力は、米国から加えられる圧力と、それに対する自主路線派と追随路線派のせめぎ合いであったと書かれている。この本は、日本の戦後史を「自主派」と「対米追随派」のふたつの路線の戦いとして描かれたものであった。 「戦後史の正体」の中で孫崎氏は次のように語っている。「戦後史の正体」を書いたことで、確認できた重要なポイントは次の3点である。① 米国の対日政策は、あくまでも米国の利益のためにある。日本の利益と常に一致しているわ…