千恵は気づいていたのか 本当は、もう治療方法がなかった。 僕は、そのことを千恵に伝えることができなかった。 奇跡が起きることを祈り続けた。 千恵に隠れて、泣きながら食事を作った。 ふつうに接することが、これほど難しいとは想像もしてなかった。 こんなとき、家族は患者とどのように向き合えばいいのか。 どうやって、気持ちを奮い立たせればいいのか。 誰かに教えてほしかったが、誰にも聞くことができなかった。 あのとき、千恵は迫る死に気づいていたのだろうか。 結婚披露宴で友人のヨムさんが撮影。僕より長く生きてくれると信じていた(2001年8月5日) がんが勝つか、私が勝つか。(2008年6月4日) 隠して…