窮理説は侗庵の思想を知る上で重要な論文です。ここで予め「窮理」について解説します。朱子学ではあらゆる物や事にその存在原理・存在根拠があると考えられており、これを「理」といいます。理を追究していくことを「窮理」といいます。 ここで動植物や物質や天体について窮理を行っていけば自然科学や物理学・天文学などの発展につながっていたとも思えますが、中国ではそうはなりませんでした。窮理は専ら道徳的な方面、形而上学的方面で行われました。 朱子学ではあらゆる方面(といっても道徳的方面)で窮理を行ない(これを格物窮理といいます)、自分自身や宇宙全体の理を知る。そうすることが自分の心の発動である「意」をまことにする…