「ヒトのなかに際限のない欲望(引用者注:マズローによれば、生理的欲求にはじまり、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求、さらには自己超越欲求にいたる5段階があるという。しかも、各々に異なる質と量がある)が目覚めたとき、彼らはそれらの欲望を達成するために働く(目的意識的労働)ようになった。 苦痛と悩みの可能性が生まれた。私たちは自分の環境がどんなものであれ、それに不満を抱く。何を手に入れても、それ以上を欲しがらずにはいられないのである」(『欲望について』から)。 誰もがうらやむ容姿をふくむ遺伝的素質や縁故・閨閥をふくむ生得的財産の相違だけでなく、こうした欲望の諸段階や質量へのこだわりの相違…