岩波文庫133ページ「「古仏心」といふは、むかし僧ありて大証国師にとふ、「いかにあらむかこれ古仏心」。ときに国師いはく「牆壁瓦礫(しょうへきがりゃく)」。しかあればしるべし、古仏心は牆壁瓦礫にあらず、牆壁瓦礫を古仏心といふにあらず、古仏心それかくのごとく学するなり」 「古仏心」とは何かと言うと、昔ある僧侶が大証国師(南陽慧忠禅師)に問いかけた「古仏心とはいったいどういうものでしょうか」。そのとき大証国師は「牆壁瓦礫(かきね、かべ、かわら、こいし)である」と答えられた。このことから知らなければならない、単に言葉の上だけで、古仏心が牆壁瓦礫であるとか牆壁瓦礫が古仏心であるとか言うのではない、このよ…