職業に貴賤上下の別はなしとは言われるが、人を育てる仕事は特別でひときわ尊いと思っている。そう思っているのに、教師を希望する高校生や大学生に教師になることを強く薦めることができない。それがとても残念である。 38年の教職経験で感じていたことは、教職員を含め教育関係者にあまりにも多忙な教育現場を改善するという気概に欠けていたことである。「昔から教育現場は忙しかった。忙しいのは当たり前だ。ゆとりは子どものゆとりであって教師のゆとりではない」などと発言する年輩職員や管理職もいた。こんなことでは改善は無理である。忙しいという字は心(りっしんべん)を亡くすと書くが、心を亡くす状況を放置してはならない。 や…