2023年発表の本書は、眼光鋭い元海将香田洋二氏の「防衛省に対する喝!」である。一度パネルディスカッションでご一緒したことはあるが、著書を紹介するのは初めて。集団的自衛権行使が可能になり、防衛予算も欧州各国並みのGDP比2%への道筋は付いたものの、まだ闘える自衛隊になるには課題が残る。その最たるものが、内局である防衛省の無為無策というのが主張ポイント。 筆者は制服組で、海上自衛隊TOPの艦隊司令長官を務めているが、防衛省(背広組)は現場のことが何も分かっていないとある。背広組のKPIは、防衛計画の大綱をいかに守るかになっていて、国を守るにはどうすればいいかはなおざりだとある。防衛力というのは、…