「とにかく、自分が読みたい作品を書いてみる」 (岬 鷺宮『読者と主人公と二人のこれから』電撃文庫) この作品の「あとがき」に、作者の岬先生が、こう記しています。あらすじを紹介しますね。 他人との関係に後ろ向きな細野晃(ほそのあきら)。彼にとっては高校入学式後の最初のホームルームでの新しいクラスメイトたちの自己紹介にそれほど関心はない。自己紹介が進む間も、彼は1冊の小説を見返していた。それは何度も読んだ愛読書で、題名は『十四歳』とあり、主人公は14歳の少女・トキコである。彼は、友人など作らない、トキコの物語を読んでいれば他には何もいらないとさえ考えていた。 自己紹介は出席番号順だ。晃の番になる直…