語学の天才という評価を誰も否定できない井筒俊彦の語学の先生が西脇順三郎。 専門は英文学だけれど、世界を相手にしたモダニズム、ダダイスム、シュルレアリスム運動の中心人物・かけがえのない詩人という側面もあって、19世紀フランス象徴派の代表的詩人というよりも詩人としての最高峰のマラルメの詩の訳を数多く残していることも、なんとなく納得がいく。 訳の特徴としてしては、原詩の逐語訳にこだわらず、行をまたぐ語句の入れ替えを無理なく行って、主意を損ねることなく日本語訳独自の世界観を構築しているところが挙げられる。光量が大きいのに熱くない訳文は、原詩に潜み翻訳ではより増大される可能性が高い秘教的な神秘性を脱色し…