本稿では〈土神〉と「東北」の祭りとの関係について述べる。物語で〈土神〉の「祠」がある場所の祭りは,〈土神〉が「今日は五月三日,あと六日だ」と言っているので5月9日である。この物語は岩手山東側の「一本木野」が主な舞台なので,この周辺の神社などで5月9日あたりに祭りをしている場所が候補に挙がる。賢治研究家の高橋(2011)が滝沢村内の20社くらいの神社を調べていた。しかし,この日あるいはその近くで祭りをしている神社は見当たらなかったという。第1稿でも述べたが,この物語の舞台は「一本木野」以外にも複数あって,賢治は複数の場所を混在させている。私は,5月9日の祭りの候補として文語詩未定稿の「祭日〔二〕…