12月も20日を過ぎる。例年なら、師走感に満ち満ちているが、本年は<ふつう>である。11月の末あたりからひょんなきっかけで、山川方夫の小説を読み返しており、それがその他の購読予定を大幅に狂わせている。彼の全集(筑摩書房ではな冬樹社のもの)の第2巻、読み始めて、第1巻、第3巻を南信州に疎開させていたと思い込み、12月初旬、確認のため帰省した。しかし、なかった。若き日に誰それかの友人に貸したままになっていると想像する。 今、読んでも古さを感じさせない。むしろ、現代作家のものより旗幟鮮明で、人の感性など古くも新しくもない、それを実感させてくれる。南信州で全集は見いだせなかったけれど、数年前に刊行され…