春の雪消え直後は、農家はとても忙しい。待ってましたとばかりに田畑の作付け作業が一斉に始まるのだ。だから、少しでも早く雪を消す工夫が昔からあった。 田んぼに堆肥を落とし込む穴を掘るついでに、下の田土をすくって周囲に撒くことがあった。黒い色が太陽の熱を吸収して雪消えに効果があると子どもでも知っていた。家の近くに作る苗代の位置には、特に早くから雪上に土を撒いて消雪した。苗代を早くきちんと準備できるかどうかは、その年の作況に関わったことだろう。 さて、3つ目の橇は「機械橇 (きかいぞり)」と呼ばれていた。うる覚えだが、幅50~60cm、長さ140~150cmくらいではなかっただろうか。堅い角材で丈夫に…