叔父の死をきっかけにペンを執った私は、初めて書いた短編小説で地元コンクールの市長賞に選ばれた。 自分と家族のために書いた作品が評価されたことで、わずかながらも手応えと自信を手に入れた。そしてまた新たな小説を書いてみたくなっていた。 やっても時間の無駄、と最初から諦めて留まろうとする私もまだ居座っていた。けれど、このビッグウェーブに乗らなくてどうする! と飛び出したがる私がしつこくそそのかした。 天使と悪魔のせめぎ合いというよりは、疲れた休日の父親と遊園地に行きたがる子どもの応酬と言った方がしっくりくる。 そうして結局、遊園地が勝った。まだほかにも書けるんじゃないか――その気持ちに蓋をして一度き…