小説のなかであっても自分の知っている風景や事物が登場すると気になるものです。この本で登場するのは<天保山>です。 本書は前に紹介した<子供 本の森 中之島>図書館の後ろを流れる堂島川沿いの小さなバーに集う客とマスターの交流物語。著者は当地に本社があるサントリーの宣伝部に勤めていたサラリーマンだからお酒の知識とその描写はむちゃ詳しい。洋酒の好きな人が読んだらムズムズしてきそう。 物語は春夏秋冬四編の構成。<秋~舟歌酒>編で会話のなかに大阪市港区の「天保山」が出てくる。標高4,5m、嘗ては日本一低い山だった。 115ページ。マスターと客の会話。「海ばっかしやないですよ。うちの近くには山もあるし」「…