高木浩明さんの「古活字探偵事件帖8」(「日本古書通信」8月号)を読みました。異植字版とは、一旦組んだ版をばらして、同じ活字セットを使って組み直した「別版」を言うのだとした上で、部分的に異なる活字に差し替えられた場合について書いています。高木さんはこういうケースを部分異植字と呼び、字母の違う仮名に換えた例を挙げています(文章の意味は同じだが活字が換えられたことは明らか)。何故そんなことをしたのか。1回しか使われていない活字を換えていることから、活字が傷んだからではないようですが、何か区別をつけたい理由があったものかどうか、未審らしい。 本誌には牧野富太郎が石版刷を習った太田義二工房制作の「母子像…