<左は春宮の二之御柱、右は秋宮の一之御柱> 『古事記』神話の中で、タケミナカタが敗走して諏訪の地に留まる物語は、奇妙としか言いようがありません。オオクニヌシの系譜にないのに唐突に登場し、以後どこにも登場しません。しかし、諏訪の人びとは敗走した情けないこの神を祀り崇めています。 神話のなかと現実の信仰の場では、タケミナカタのイメージは大きく異なりますが、この不思議を合理的に説明できる理屈はあるのでしょうか。諸説あるが……。 ▽ 何らかの史実が反映されているとする説― タケミナカタに象徴される出雲族が天孫族に追われて敗走し、そのまま居ついて諏訪の豪族になったとする『古事記』神話に沿った解釈。でも中…