「病み」がポップなアイコンとなって、随分と経った。「メンヘラ」というネットスラングが現実世界でも通じるようになって、久しくなった。 この「病み」とは勿論、身体を犯すそれではない。心に巣食い精神を蝕む、見えない病魔のことである。 私は2010年代を所謂「メンヘラ」として過ごしたが、その時代に見て来た「病み」の光景は日々少しずつ消滅し、新しい景色に移り変わっている。当事者であった頃は、投薬でも入院でもして早く楽になりたいと自身の陥っている状況を医療的側面からしか捉えていなかったが、こうして距離ができてから改めて振り返ってみた時、「病み」がここ数十年のサブカルチャーを語る上でひとつの重要な語句(キー…