岡本綺堂の小説でいいなって思うものの感想を書いてみようと思う。 『岡本綺堂全集・242作品⇒1冊』 作者:岡本 綺堂 岡本綺堂全集・出版委員会 Amazon まず、アンソロジー「山怪」に載っていた「くろん坊」。 働き手の優秀な息子が僧侶を志したことを許した山深くに住む貧しい一家に起こった悲劇。江戸時代の貧しさつらさがにじむ出る話。 「小坂部姫」 舞台は京都双ヶ岡。歌舞伎である忠臣蔵に出てくる、かの塩谷判官の妻に横恋慕したという高師直の娘である小坂部姫をめぐる話です。恋に悩む父を助けようと、娘は代筆を頼もうと恋人の采女と双ヶ岡の兼好法師を訪ねます。霧深き双ヶ岡を舞台に宿命から逃れようとする乙女。…