水曜日。午前6時30分。 フライドエッグと香ばしいコーヒーの匂いが、私を眠りの世界から現実に連れ戻した。キッチンでマコトが朝食を作っている。ソファーからゆっくり体を起こし、両手で顔を押さえ、数回上下に動かした。手のひらにひげが当たる。今日のために、3日ほどひげを剃らなかった。無精ひげのほうがテンダーロインの浮浪者らしくみえる。今朝はシャワーもやめておこう。 小汚いほうがテンダーロインには似つかわしい。 8時10分までにマコトを学校につれていき、ジェームズ巡査が迎えにくるまで ぜったいに校庭から出るなと念を押し、彼女が教室に入るのを見送って本部に向かった。運転しながら今日のことを考えた。自分に割…