今から四半世紀も前の1999年のことである。鯉淵学園農業栄養専門学校の農業科に、新科目「有機農法論」を開講した。有機農業の技術を課題にした6カ月15回30時間の科目だったが、教材に困った。テキストにできる本がどこにもなかったのだ。 開講前から分かっていたことだったので、授業は大量の配布資料を作って行った。2年後、この配布資料を基にしてテキスト作りに着手した。原稿を書き、作図し、撮りためた写真を整理し、足かけ6年をかけて刊行したのが『解説日本の有機農法―土作りから病害虫回避、有畜複合農業まで』2008、B5版319p(筑波書房)である。稲作の部分は栃木県野木町の有機稲作農家舘野廣幸さんが執筆して…