1994年、有機農法への転換を志した当時から私には確信のようなものがあった。未来の農の世界ではおそらく有機農業が主課題になり、有機農家が主役になるだろうと。 1971年に日本有機農業研究会が発足し、その後ピーク時には全国で5,000名もの有機農民が研究会に結集したという。農家後継者が慣行農法から転換した事例も多かったが、非農家生まれでゼロから学んで参入した有機農民がたくさんいて、時代としては画期的だった。慣行農法からの転換には、農村の実情からすると多分に抵抗感が伴うが、新規参入者には農村特有のしがらみもなければ、農法についての固定観念もなく、有機農業に取り組みやすかったと思う。 とはいえ社会の…