脂がのった海の幸・寒ブリで知られる、富山県氷見市の民宿に一泊しました。和室の部屋は海に面し、窓を閉めても潮騒の音が聞こえてきます。階段を降りると露天風呂。ここからも海と、海の向こうに冠雪した北アルプスを一望できました。 痛飲して畳に敷かれた布団に入り、翌朝はまだ薄暗いうちに起床。露天風呂に行くと、もう5、6人の先客がいました。目的はみんな同じです。山々の向こうから朝焼けが始まり、やがて海が輝き始める光景を、露天風呂から眺めようという魂胆です。 目前に広がるのは、古典文学の世界で代表的な歌枕の一つ、有磯海(ありそうみ)。 ところがわたしは、稜線がくっきり浮かび始めたあたりで、急いで部屋に戻りまし…