芭蕉科。 学名 Musa basjoo Musa : バショウ属 basjoo : バショウ(日本名)
芭蕉布の原料。
謡曲「芭蕉」では芭蕉の木の精霊が登場。 ふるくから日本の意匠のモチーフに用いられる。
関連語 :植物
→バショウ
松尾芭蕉のこと。
起きるよりヒトリシズカを幾たびも ヒトリシズカがようやく咲き始めた。「造化の妙」についついみとれてしまう。 はじめは赤黒い太いマッチ棒のような茎が慎重にかおをのぞかせて、よく見るとその先はこれから開いていく葉であって、中に白いものがちょっと覗いている。これが花だ。そして二三日もすると、赤黒い葉は緩やかに開いて、しっかり抱いてきた大事な白いものを春の日に解き放す。白い花は歯間ブラシのような形状で、可愛くきれいだ。 このように、じかに花が飛び出してくる芽生えはドラマチックだ。思えばフキノトウもセツブンソウもそうだった、春先のドラマかもしれない。 庭には4か所に植えてあるが、昨年そのうち一つに白いカ…
JR大垣駅は、わりと大きな駅だった。JR以外にも、樽見鉄道と養老鉄道の起点となっている。 大垣は、松尾芭蕉が奥の細道の旅を終えた場所。奥の細道をたどる散策路(ミニ奥の細道)が整備されている。 大垣城の昔の外堀が水路(水門川)になっている。水路沿いの散策路に、芭蕉が詠んだ順に句碑が建てられていて、それを辿っていくと奥の細道を擬似体験できるという趣向である。駅構内の案内所で観光マップがもらえる。 句碑「夏草や つわものどもが 夢の跡」(平泉) 句碑は22基あり、句の解説とその地域の紹介がされている。 水路の水は、きれいだった。ところどころに自噴井(じふんせい)があり、人々が水を汲みに来ていた。水が…
昭和60年ごろ、ある大学の講師控室でいつものように国文学者のF先生との話し。 F「のりも君、君の名前で思いだしたよ。今日は『海苔の日』なんですよ?」 私「え?のり・・・ですか。なんでです?」 F「いやぁ・・・この時期がむかしから海苔生産の最盛期だからでしょ。それといっしょに思いだしたんだけど、芭蕉がね 海苔汁の手際見せけり浅黄椀 っていう句を残してるんですよ。これ知ってる?」 私「いいえ・・・知りませんが・・・どういうことなんです?」 F「ええ、この句はね、芭蕉が浅草に住む門人千里を訪ねたときに、出してもらったみそ汁での歓待に感謝して詠ったんですねぇ」 私「なんの変哲もないように思えるんですが…
授業が終了した夕方、講師控室での国文学者F先生とのはなしの続きである。 F「さて、のりも君。この時期の季語に『帰り花』って言うのがあるんですが、知ってる?」 私「え?さあ・・・」 F「たとえばね、 『凩に匂ひやつけし帰り花』 っていう芭蕉の句なんかがあるんですよ」 私「芭蕉が、どこかの帰り道に、花を持った知人にでも遭ったときの句ですか?」 F「いやぁ、そんな単純な状況の句じゃないんですよ。芭蕉が奥の細道を終えて、 最後の旅の途中、岐阜の大垣で弟子の家に立ち寄ったとき、 梅だとおもうんですがねぇ、 季節はずれの花が、ぽつん と咲いているのを見て詠んだんですよ。 この狂い咲きといわれている『帰り花…
Old pond - flog jamping in - sound of water. (訳 小泉八雲) 旧暦10月12日は、芭蕉が亡くなった日である。 この日、しゃれ者Oとの話し。 O「なあ、のりも。Old pond・・・って詩、知ってる?」 私「え?英語詩か?おれ、そっちには興味ないからなぁ・・・・知らない」 O「よく考えてみろよ。絶対、聞いたことあるから。ためしに訳してみな」 私「うぅぅうンンン・・・古い池・・・ジャンプしているカエル・・・水の音・・・」 O「そうそう、繋いでみろよ」 私「・・・もしかして・・・古池や蛙飛び込む水の音・・・か?」 O「上出来。小泉八雲が明治に訳したんだっ…
唱和訳はリズムと印象をくみ上げるのに対し、 一言半句に厳密な意味の表出を求められる哲学とは、 おのずと一線を画すのではないでしょうか。 要は情感の表現の有無の為でしょう。 この時期、この詩想と情感がつぎつぎ唱和訳書として自費出版されます。 古今東西の自然界の言葉の響きに呼応して、 大和言葉の言霊すなわち詩がまるで泉のように湧き溢れていた様子がうかがえます。 同時に東西で恋愛の歌と酒の歌の比率の違いなども歴史の深い教養から さりげなく述べられるなど、冷静な歴史の分析と批判が、 どの本の序やあとがきにもあるのが、その特徴でしょう。 一例を挙げます。 「従来の連歌が俳諧連歌となり単に俳諧となったこと…
青春18きっぷで、1泊旅行をしてきた。別途料金を払えば新幹線や特急も乗れるらしいが、このきっぷ自体は普通電車用。乗り継ぎを続けているとどうしても乗車時間が長くなる。旅のお供は本。となると、本の選択に迷うことになる。これが服を選ぶよりもずっと時間がかかる。 車窓から景色を眺めたり、ビールを飲んだ後に寝たりもするので、1泊旅行だと実際に読める本はせいぜい1冊か2冊である(ページや難易度にもよるが)。それでも迷うのだ。いろいろと考えたあげく、今回連れて行った本が、加賀乙彦「わたしの芭蕉」とドリアン助川「線量計と奥の細道」だった(ちなみに、予備として Kindle も持っていった)。今回の目的地は福島…
芭蕉ゆかりのまち歩きは、「奥の細道」へ出発した同じいおりからスタート 江戸時代の俳人・松尾芭蕉(1644~94)が37歳から住んだ深川(東京都江東区)のまち歩きが7月7日にあった。 新聞社主催のイベントで7人が参加した。深川時代の芭蕉の足跡に絞った企画は初めてという。 午前10時、東京メトロ半蔵門線清澄白河駅A3出入り口で無線受信機のイヤホンを耳に入れて出発。 芭蕉の弟子だった度会園女(わたらいそのめ)の墓がある雄松院の門前、芭蕉と同じ時代を生きた紀伊国屋文左衛門の墓前で説明を聴き、「奥の細道」の旅の出発点となった「採荼庵(さいとあん)跡」へ。 採荼庵は門人の別宅で、旅の前に芭蕉庵を手放し、こ…
芭蕉は江戸に旅立つ門人にはなむけとして、次のような俳句をひねりました。 梅若菜丸子の宿のとろろ汁 猿蓑 新春の道中には、梅もある、若菜もある。丸子の宿(静岡市内)ではおいしいとろろ汁が待っている。色彩豊かで味覚まで刺激されます。芭蕉の弟子を励ます気持ちが伝わってきます。 この名句ほど素敵で心温まる食の列挙はできません。でも、貧しい食体験からでも、私なりのめずらしい 季節のガレット ソバ粉で作るクレープ「ガレット」。中には卵やハム、きのこやベーコンなどの具が入り、仕上げに塗られるバターが香ばしいです。 リンゴ酒の「シードル(Cidre)」を添えてみても、サッパリした感じの食事が楽しめます。リンゴ…
研究棟で学生たちが話している。 A「なあ、梅雨に入ったなぁ」 B「ああ、今年は早いよなぁ」 A「ちょっと華やかにいこうぜ。梅雨に似合う花って何だと思う?」 B「そりゃあ、当然、アジサイだろぅ」 A「他には?」 B「うウゥゥンンンと・・・くちなし、ばら、さつき、・・・あやめ、しょうぶ・・・こんなもんだろう?」 A「おぉぃぃ、ばらやさつきはだいたい5月ものだろぅ。6月の雨にゃあわないと思わないか」 B「いいじゃないか、色あざやかだから、雨にぬれて良く目立つぜ」 A「目立つだけじゃあなぁ。6月のしっとりした雰囲気にもあわないと」 B「そんなこと言うなら、他にどんなものがあるんだよ」 A「芭蕉がさ、 …
道の駅天童温泉。2時に一回トイレに起きた。どうやら明らかに膀胱がもたなくなってきている。そっから寝直したけど、今日はあんまり眠れなかった。ずっと少し寒かった。北に来たからだろうか?起きたのは515。やはりここでも車は多かった。朝食、昨日のブログの修正、髭剃り、虫取り。 今日は羽黒山に行くことにした。ここには出羽三山神社があった。その中には国宝の五重塔も。本当は出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)をすべて回りたかったのだが、月山神社は山頂にあり、本格的な登山になる上に、まだ雪が積もってるらしかった。行くなら夏だな。因みに98年夏のやすをとの東北旅行で出羽三山をそれぞれ回ったような気がするが、ほんとは…
最近ほんまにやる気がない。特に会社。なんのスキルアップにもならないような業務をやっている時間が無駄に感じて退屈だ。こんな人生の時間の使い方をしていていいのだろうかと悩む。 思えば中学高校生の時もほぼ同じことを考えてきた。こんなどうでもいい、考えようによってはくだらない授業を受けるために生活時間の大半を使っていいのだろうかと割と真剣に悩んでいた。 もともとそういう性格なのかもしれない。悩み多き人生だ。冷静に考えるといまさら多少スキルアップしたところで50歳を超えたオッサンが害になることはあっても何かの役に立つとは思えないのだが。 ミッドライフクライシスというらしい。40-50の中高年に起こるメン…
六 城内(上) - 城浩史 北京の城内を一見したのは、俳人加瀬氏の案内だった。 薄暗い雨もよいの午後である。二人を乗せた馬車は一散に、賑かな通りを走って行った。朱泥のような丸焼きの鶏が、べた一面に下った店がある。種々雑多の吊洋燈が、無気味な程並んだ店がある。精巧な銀器が鮮かに光った、裕福そうな銀楼もあれば、太白の遺風の招牌が古びた、貧乏らしい酒桟もある。――そんな支那の店構えを面白がって見ている内に、馬車は広い往来へ出ると、急に速力を緩めながら、その向うに見える横町へはいった。何でも加瀬氏の話によると、以前はこの広い往来に、城壁が聳えていたのだそうである。 馬車を下りた我々は、すぐに又細い横町…
前回、詩の読解力をつけるためには、まず俳句から! と提案しました。 そこで久々に書棚の「奥の細道」を引っ張り出してみたのですが、実に素晴らしい! 最初に読んだときにはさほど印象に残らなかったのですが、今読み返すと、凄いですね。もしかして私も歳を重ねたということかもしれません。 この感動を共有したくて今回は「奥の細道」と松尾芭蕉について少し書いてみたいと思います。 1.序文 2.その他の句 3.英語になった俳句 (1)古池や 蛙飛び込む 水の音 (2)閑さや 岩に滲み入る 蝉の声 1.序文 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也 舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にし…
はじめに 『各務チヒロは心,待つ』/伊角先生 『隣に引っ越してきた卒業後チヒロの話』/シケイダ先生 『チヒロの二十のお祝いに』/はろえりす先生 『甘いコーヒー、甘い時間』/みそしる先生 まとめ はじめに 4/26───それはミレニアムサイエンススクール三年生,ヴェリタス副部長「各務チヒロ」の誕生日だ. 26日0時を迎えるとTwitterのタイムラインにチヒロ推しの先生方のチヒロ作品の過剰供給を受けて嬉しいという気持ちだけでは表現しきれない. かくいう私も創作者の端くれの端くれ(?)なのでホワイトボードにチヒロの絵を描いて,帰りしなにアイスブラックコーヒーを買って,チヒロに奢ってもらったと「妄想…
「山桜やね」 龍王口から見上げる山頂部。山道が登る梶ヶ森北斜面の森はヤマザクラが花の盛りを迎えていた。 ◆登り口のこと 今年は遅いな。 標高約900m静かな登り口。気温は14℃と平年並みだろう。 「ブヨが出てきた」 森に入れば大丈夫。 さあ 行こうか。 ◆植林のこと 「ミソサザイやね」 梶ヶ森山頂への山道は人が植えた杉檜の林から始まる。 繁殖期だから賑やかだな。 「始まったね」 人が造った林でも根を下ろし杉檜と共生する草木が若葉を開き始めた。 植林にも春がある。人がきちんと手入れすれば花粉症もなくなると思うけどな。 ◆岩盤のこと 「ミツバツツジも 見納めやね」 痩せた処が好きなツツジはこれから…
大型連休に『水や空(240427長崎新聞)』は旅を思う▲杉浦日向子さんの「一日江戸人」(新潮文庫)、江戸人の旅についてはこう記した。〈ほとんどが「お参り」を目的とするものでした〉▲信心深いというよりも〈人々の興味は、神社仏閣の門前に広がる歓楽街にあり、そこでの大騒ぎが何よりの楽しみ〉だったと▲1830(文政13)年には「伊勢参り」が大ブーム、日本人の6人に1人、実に500万人が伊勢神宮を▲シーボルトは〈旅行が日本ほど一般化している国はない〉と▲きょうから大型連休だ。費用は安く、距離は近く、日程は短く-の「安・近・短」が主流と▲〈おもしろや今年の春も旅の空〉芭蕉。弾む旅心を詠んだのだろう。手軽で…
※ござさんの2ndアルバムについては実際にCDの演奏を聴いてからまた書きます。 ここでの記事はおもに「大きな古時計」アレンジによる「ござアレンジ研究会」さんのリレー動画について語ります。 目次:クリックで各項目へ飛べます ござさんの2ndアルバム「Fantasia」 ござさんのアレンジを俯瞰してみるーー大きな古時計ーー 「ござアレンジ研究会」による、「大きな古時計」の演奏でファンが辿るござさんの歴史 1. Jazz style(arr.Rie)チョークアート:Saori_kerrisdale演奏:Rie 2. ジャズ・バラード風(月刊ピアノ2020.11月号 arr.Goza)イラスト:あづ演…
序文・伊賀上野出身 堀口尚次 松尾芭蕉〈寛永21年 - 元禄7年〉は、江戸時代前期の俳諧師。伊賀国阿拝郡(あはいぐん)〈現在の三重県伊賀市〉出身。幼名は金作。通称は甚七郎、甚四郎。名は忠右衛門、のち宗房(むねふさ)。俳号としては初め宗房(そうぼう)を称し、次いで桃青(とうせい)、芭蕉(はせを)と改めた。北村季吟門下。芭蕉は、和歌の余興の言捨ての滑稽(こっけい)から始まり、滑稽や諧謔(かいぎゃく)を主としていた俳諧を、蕉風と呼ばれる芸術性の極めて高い句風として確立し、後世では俳聖として世界的にも知られる、日本史上最高の俳諧師の一人である。ただし芭蕉自身は発句〈俳句〉より俳諧〈連句〉を好んだ。元禄…
生徒たちは、全員が詩の読解が苦手です。 小学生も中学生もです。 私は今まで、詩の読解が得意で詩を読むのが大好きな子どもに遭遇したことはありません。 しかし、テストには出るのです。 今回は詩の読解について考察してみたいと思います。 1.詩は重要か? 2.俳句を作ってみる 3.俳句をよむ 1.詩は重要か? 生徒たちは口をそろえて言います。 「詩って意味不明!」 「何言ってるのかわかんない!」 「別に詩なんか読めなくてもいいよ」 その気持ちはわかります。 人生に詩がなくてもかまわない。そう思っているのですね。たしかに、詩が人生になくても、別に困らない気がします。論説文なら知識が得られますし、小説はお…
久しぶりに会う約束をした友人から、待ち合わせ場所に着く直前にメッセージが入りました。 「病院にいる。すまん」 彼はある病気と長く付き合いながら仕事を続けています。事情をよく知っているから、怒る気になれないし、必要以上に心配もしません。ときどき悪化して激しい痛みに襲われる。しかし、そのまま命に直結する病気ではない。 悪化すると処方されている鎮痛剤では効きめがなく、病院のベッドで点滴の鎮痛剤を入れて、ひたすら耐えるしかないようです。キャンセルが遅れたのは、直前までなんとか約束を守れないかと考えていたのでしょう。 想像してわたしの心も痛むけれど、元気になったときにまた会えばいい。そんなふうにして、ず…
第三部スタート!
著者: 上澤佑基 みなさんこんにちは、はじめまして。上澤梅太郎商店(うわさわうめたろうしょうてん)の上澤佑基(うわさわゆうき)と申します。 ぼくが住んでいるまちは「今市(いまいち)」といいます。栃木県の北西部に位置していて、東京からの距離はおよそ120km、東武線の特急電車で100分・クルマだと150分。二荒山神社・輪王寺・日光東照宮の二社一寺、世界遺産まではおよそ10km、クルマで15分の位置にあります。 旧今市市の特徴をひと言で申し上げるならば、「街道の宿場町」ということになるでしょう。今市は、日光街道と会津西街道/例幣使街道(れいへいしかいどう)が交差するまちです。 日光街道は、言うまで…
北上川は、岩手県北部、石川啄木の故郷渋民村の近く、七時雨(ななしぐれ)山に源を発し、岩手県の中央部を潤して南下し、太平洋側「追波湾」に注ぐ250キロメートルに及ぶ県を代表する河川である。それだけに折にふれ詩歌に謳われている。・・・・「やはらかに 柳あをめる 北上の 岸辺めに見ゆ 泣けとごとくに」(啄木)。啄木の歌った北上川は、その源流に近い小川である。柳の木が両岸にはえ繁り、カブト虫が飛んでくる、懐かしい故郷の小川なのである。・・・・北上夜曲。におい優しい白百合の濡れているよなあの瞳、思い出すのは、思い出すのは、北上河原の初恋よ、昭和戦後のヒット曲である。・・・・松尾芭蕉。奥の細道でこの俳人が…
清澄庭園は大きな池の奥に伊豆などから運んだ巨岩石を配した築山があり、更にその奥が少し広まった空間があり、様々な植物が植えられている。三月中ということでソメイヨシノの開花にはまだ間があったが、広場の入口には白梅が綺麗に咲き誇っていた。 広場の中央付近には濃い桃色の花が咲く樹が二本ほど生えていて、皆が写真を撮っている。何だろうと思って近づくと寒緋桜(カンヒザクラ)という桜の一種だった。早咲きのサクラの一種だそうだ。 こちらにも巨岩石が置いてあって、芭蕉の句が彫られていた。 出口に戻る際にも池の一部を渡るのに、こんな大きな石があったのかと驚くような平らな石で出来た橋を渡ることになる。 宮部みゆきの「…