夫婦での旅行から帰り、どこそこが楽しかったと話しているうちに、話題はふと立ち寄ったワイナリーのことに行き着きました。 ぶどう園を擁する私設の公園がちょうど紅葉の盛りで、私たち夫婦のほかに人影はなく、まるで貸し切りのようだったこと。ワインを寝かせる地下室がひんやりとして、迷路のように奥へ奥へと続いていたこと。思い出は次々と言葉になり、話題は尽きませんでした。こうして記憶が言葉にされ、夫婦のあいだで共有されていくと、私たちの共通の時間が、ピン留めされたような気持ちになります。少し気の利いた言い方をすれば、「私たちの時間に錘をつけた」という感覚でしょうか。歌を詠うことを「自分の時間に錘をつける」と表…