永田和宏の近著『人生後半にこそ読みたい秀歌』を読んでいます。 人生百年と言われて久しいですが、老化を病と捉え、うまく治療することで、健康寿命もまだまだ延ばしていくことが可能だ、という研究もあるのだそうです。 こうやってヒトにのみ与えられた生殖期以降の生がどんどん延長され、人類史上はじめての経験や課題を、おのがじし切り開いていかねばならない。歌人たちが、この人生後半をどう捉え、どう歌に詠んだかを、あたたかな眼差しで切り取った一冊です。老いや病と向き合う歌、親の死、伴侶の死に向き合わざるを得ない歌など、どの歌も重たいものですが、それを受け入れて、ともあれ生きていこうという姿勢は、どこか吹っ切れた爽…