明治初年のベストセラー 漢文のような漢文 『東京新繁盛記』もくじ 服部撫松略歴 売れた文体 「学校」からはじまる開化 明治初年のベストセラー 明治のはじめころ、福沢諭吉『西国事情』『世界国盡(くにづくし)』は、いわゆる洛陽の紙価を高からしめたというやつで、ひどく売れたらしい*1。『学問のすゝめ』はぺらぺらの雑誌であったらしいから、これを除く。 これに匹敵したのは服部撫松『東京新繁昌記』ばかりであったらしい。 売れに売れた。 1万部とも1万5千部とも言う。それっぽっちと思われるかもしれないが、まず人口が違う。そのころ列島の住人は3500人くらい。人口比になおせば3.5倍。それから出版事情、識字率…