私が毎朝使う スプーンとバターナイフは 桜の木で出来ている。 小屋の近くの山で 何年生きたか知らないが 薪用にと貰った 桜の木だ。 切り口から 甘い香りを放ち 燃やしても 小屋中に 香りは充満する。 その桜の木で 夫がスプーン フォーク バターナイフ等を 作ったのはもう何年も前になる。 それ以来 私たちは 何年も 毎朝 毎朝 桜のスプーンでヨーグルトを食べ 桜のバターナイフで こんがり焼けた 熱いパンにバターを塗る。 欠けた皿の上に 行儀良く収まった姿は 慣れ親しんだ 朝の景色だ。