昨年亡くなった佐々涼子さんの出世作、「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」。ノンフィクション賞を取り、ドラマ化されて、書評も読んでいるので、すっかり内容を知っているつもりになって、後回しにしていた。トレイラー(予告編)を見て、映画を見たつもりになったのと一緒か。実際読んでみたら、想像以上にすごい本だった。 国際霊柩送還。この言葉は、佐々さんが取材したエアハース・インターナショナルの登録商標だそうで、客死した方の遺体を故国の家族に送り届ける仕事の一般名称はないそうである。この言葉で進めるほかあるまい。医療のように命を救ったり蘇生させたりするわけでもなく、腐りやすい遺体を生前の姿に近づけるように処…