2021年2月20日 平成元年発行ですから、もう約30年前の、ひと昔もふた昔も前のアメリカ旅行記です。この本は紀行文というよりアメリカの歴史・文化論的な内容です。どんどん急速に姿を変える現代アメリカを知りたい読者にとっては、内容が古臭くて満足できないかもしれませんが、司馬さんの歴史感・世界観が訪問当時のアメリカを巡って語られ、さすがに事前の勉強量や現場での取材力がすごい、と感銘を受けます。 全体は第1部と第2部に分かれています。第1部はロスアンゼルスなど西海岸、第2部はニューヨークなど東海岸です。第1部の書き始めを以下に引用します。 「このことは、私なりに決意が要った。新聞社にたのまれたあと、…