父から昔そのままのやり方で仕込まれた私は、十数年の経験を経て徐々に一人前の寄木職人の域に近づく自覚のようなものが出来つつあり、周囲もそのように扱ってくれるようになった。厳しい父のこと、そんなことはおくびにも出すものではなかったが、仕事上の口出しは次第に減っていった。腕が上がるに連れて、それまでただひたすら木と格闘してきた私は「木は使い方によって生きる」ことを仕事の中で改めて実感し、使い方によって面白さを表現できることを知った。自然のものの持つ奥深い魅力に気づいた。(本間昇『寄木に生きる』文化堂、2004) 以下、3年前の学級通信「コラボ」より。 年末に2回、箱根を訪ね、『寄木に生きる』の著者で…