式正織部流「茶の湯」の世界を書き始めておよそ3年半になります。 鎌倉幕府が開かれ、武士の世が到来した頃から書き始め、天下分け目の戦いの大坂の陣まで書き通して参りました。そして、武士とは何か、武士の間に広がった茶の湯とは何かを、権力闘争や文化など、余りにも多方面にわたって触れてきたせいで、焦点がぼけてしまった感があります。 古田織部はウニのよう、と書き始め、ウニの棲む海の世界を描き、ウニの正体を暴(あば)こうとして参りました。いやいやどうして、なかなか一筋縄ではいきません。あと、もうひと踏ん張りと意を新たにした今、数寄屋書院の傑作と言われる桂離宮の項に至り、千利休や古田織部の生き様とは全く違う別…