台湾生まれ、日本育ちの主人公は、三つの母語の狭間で格闘する――。すばる文学賞佳作受賞の鮮烈なデビュー作「好去好来歌」を収録。 来福の家 (白水Uブックス) 作者:温 又柔 白水社 Amazon 『好去好来歌』と『来福の家』、2篇の小説が収録されている。何れも、国籍は台湾であるが親に連れられて日本に来て、日本で育った若い女性が主人公の物語になっている。そこで描かれるのは、日本語、台湾語、中国語という言葉のこと。そして、その言葉によって自身の名前の読み方が変わることから、そのことによる不思議な感覚が描かれている。他にも、国籍のことなど。 そのどれにも自分に同じような体験はない。だから共感はない。日…