この島から最初に消え去ったものは何だったのだろうと、時々わたしは考える。 「あなたが生まれるずっと昔、ここにはもっといろいろなものがあふれていたのよ。透き通ったものや、いい匂いのするものや、ひらひらしたものや、つやつやしたもの・・・・・・。とにかく、あなたが思いもつかないような、素敵なものたちよ」 子供の頃、そんな物語を母はよく話して聞かせてくれた。 (小川洋子の小説・『密やかな結晶』冒頭部分。講談社文庫) 1、 とうとう、「長崎東海日誌」の解読作業が、終わりました! 別宮博明さん(西予市城川文書館員)と冨長泰行さん(愛媛医療史研究家、松山在住)、お二人の、驚異的なご尽力によってです。A4用紙…