1979年10月、筑摩書房から刊行された上西晴治(1925~2009)の短編小説集。表紙は砂澤ビッキ(1931~1989)。北海道新聞文学賞受賞作品。 この小説は、独立した四つの作品を一つにまとめあげたものだが、はじめ、「コシャマインの末裔」と題して、今の「オコシップの遺品」にあたる部分を書きあげたときには、これが四部作まで広がってゆくとは考えてもいなかった。それが、筑摩書房の柏原成光氏に書きつぐことをすすめられて、二部を書き、さらに三部へとつづけていって、ようやく四部「アイヌモシリ」まで書く結果となった。私としてはいわば初めて現代に正面から取り組んだわけで、身近なものほど客観視は難しく、また…