酉島伝法氏の奏で手のヌフレツンを読んだ。ちょっと形容しがたい作品だ。我々とは似て非なる世界が舞台のSFなのだが、単に世界というより違う宇宙の物語ととらえた方がいいのかもしれない。我々が知っているような原理はこの宇宙には適応できないような気がするのだ。しかも作者はこの宇宙のことに関してあまり事細かには説明しない。そのために、読んでいて異なる宇宙の物語を日本語に翻訳したような感じがした。序では太陽が終末期を迎え蝕になり、だんだん膨張していくのを、多くの奏で手達が楽器と思しきもので音楽を演奏しててなんとか食い止めているのだろうと想像させるような場面から始まる。だが、この時点では読者には何が起きている…