日本の磨崖仏の約八割は豊後(大分県)にある。何故なのかは分かっていない。一般説では、古くから仏教文化が栄え、加工し易い凝灰岩が広く露出していたのが理由、としている。 岩山や断崖を穿ち彫る、という仏教遺跡としての石窟(寺院)と磨崖仏とでは歴史的には石窟が先である。石窟はインドのアジャンタ石窟寺院に始まる。磨崖仏は日本、特に豊後に多い(84ヶ所、400体)。以下、筆者なりに冒頭のwhyについて考えてみた。 アジャンタ石窟寺院が作られたのは、前期は紀元前1~2世紀、後期は5~6世紀になる。元々は修行僧が瞑想の為に隠遁した場所として造られたのが石窟寺院である。エローラ石窟寺院もこの近くにあり、5~10…