ノンフィクション作家の著作が好きだ。 もちろん小説も好きだけれど、年齢を重ねるにつれて、日本の作家に関しては好きな書き手がいっそう、ぐっと、狭くなってきている。 没頭させ耽溺させてくれる作品を、いつもいつも探している。 ということで冒頭に戻るが、多くの文学賞等を受賞した『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』を書いた梯 久美子さんの味わい深いエッセイ『好きになった人』を読んだ。そのなかの「思い出す人」という項で、梯さんの目から描かれた森瑤子さんの描写に惹かれ、数珠つなぎで大好きな評伝『森瑤子の帽子』を、何年かぶりに再読した。 著者であるジャーナリスト島﨑今日子さんは、インタビューの名手として名高…