解答例 第1 設問1 1 小問1 実行の着手は、行為者の犯行計画ないし認識を基礎として事態の進行が犯行の進捗度合いという観点からみて未遂処罰にふさわしい段階に至っているかを問うものである。そこで、実行の着手が認められるかどうかは、犯行計画が未遂処罰に値する程度にまで進捗していたかによって決すると考える。具体的には、進捗度合いの判断基点は実行行為に置き、①時間的場所的近接性、②行為経過の自動性などの事情に基づいて判断し、かつ、当該犯罪の保護する被害者領域への介入を要すると考える[1]。上記見解からすれば、詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させ」るという手段・態様を限定した犯罪であるものの、「現金の交…