最近、理系と文系という二分法をやめよう、という主張が出てきている。私も頭では賛同するが、腹では納得していない。というのも、理系と文系を分けているものがあるからだと信じている。その「あるもの」とは、実験である。実験がある学問は理系だし、実験がない学問は文系だ、と私は信じてきた。しかし、実験がない理系の学問分野があることに気が付いた。数学である。数学には、実験がない。 本当に数学には実験がないのか。これは2つの点で間違っている。第1の点は、学生のカリキュラムとして、大学の数学科の学生は、教養科目を取得するときに、他の理科系と同じように物理学実験とか化学実験をかなりの割合で履修するだろう。特に物理学…