(本書および『毒の矢』の犯人、トリック等のほか、ジョン・ディクスン・カー、アガサ・クリスティの著作の内容を明らかにしています。) いわゆる横溝正史のエロ・グロB級ミステリの皮切りとなったのが本書、『幽霊男』である。『悪魔が来りて笛を吹く』(1951-53年)の連載が終了したあと、直ちに1954年1月から連載がスタートした。掲載されたのは『講談俱楽部』[i]で、こういうタイトルの雑誌は「クラブ雑誌」[ii]などと揶揄される「低級誌」(なんて言っていいのでしょうか)だったらしい[iii]。同年の10月には、講談社から単行本が発売されている[iv]が、これも驚くべき事実だ。なぜなら、完結が『講談倶楽…