(本書のトリックのほか、『幽霊男』、人形佐七シリーズ短編、アガサ・クリスティの長編小説の内容に触れていますので、ご注意ください。) 『魔女の暦』は、1958年に東京文芸社から刊行された『金田一耕助推理全集3』に「鏡が浦の殺人」とともに収録された書下ろし長編である[i]。といっても、1956年に雑誌に掲載された同名の短編小説が原型[ii]で、例によって、短編の長編化作品のひとつということになる。さらに、これも恒例のように、捕物帳にオリジナルがあり[iii]、横溝得意の三次活用の好例である。 ストリップ劇場を舞台に、金田一に送られてきた殺人予告状のとおりに、三人の女優(ストリッパー)が殺害されてい…