この時期になると、「師走は忙しい、街は慌ただしい」というキラーフレーズが頭のなかをリフレインする。卒業という明確な境をひとつ控えた年の瀬だからこそ、その慌ただしさは例年に比べより際立っている。とはいえ、なんとかのらりくらりと乗り切れた下半期。2022年の七月から十二月までに読んだ本の記録をかき集める。 上半期*1と同じく、長編15冊に短編15本を紹介する。列挙される順番は決して優劣によるものではない。 長編 『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎 『惑う星』リチャード・パワーズ 『黄金虫変奏曲』リチャード・パワーズ 『モレルの発明』アドルフォ・ビオイ=カサーレス 『波の音が消えるまで』沢木耕太…