林檎<6>-啄木の歌に登場する花や木についての資料- 林檎 石狩の都の外の 君が家 林檎の花の散りてやあらむ やがてその年の瀬も暮れて、明けて正月六日の朝に、待ちに待った智恵子からの封書を手にする。封を切るのももどかしく、一気に読み下した啄木は、その日の日記に書き付ける。 (もう一通は)橘智恵子からであつた。否北村智恵子からであつた。送った歌集の礼状である。思ひ当るのがあると書いてあつた。今年の五月とうとうお嫁に来たと書いてあつた。自分のところで作つたバタを送ると書いてあつた。さうして彼の女はその手紙の中に函館を思ひ出してゐた。 封書の差出人の署名を見た時の、啄木の気持ちが伝わって来るようであ…